■大阪がめざすIRとは―大阪・夢洲地区特定複合観光施設区域の整備に関する計画―
・IR区域整備の意義・目標/位置・規模等
大阪がめざすIRについてご説明いたします。まず2023年4月に国から認定を受けた、大阪IRの区域整備計画について紹介します。
同計画では、大阪IRの目標として、「世界水準のオールインワンMICE拠点の形成」「国内外の集客力強化への貢献」「日本観光のゲートウェイの形成」という3点を掲げております。長期・安定的な事業実現に向けて、事業期間を35年間と設定しています。
大阪IRの敷地面積は約49.2万㎡としています。参考までに、東京ディズニーランドが約51万㎡で、大体これと同じぐらいだとイメージしていただくと広さが分かるのではないかと思います。
・IR区域と国内外の主要都市との交通の利便性
こちらは大阪IRへのアクセスに関してまとめたものです。大阪IRは全ての主要交通拠点が半径30㎞以内に集積しています臨海部の夢洲に位置し、利便性の高いアクセスが可能となっています。他の都市と比較しても優れたポテンシャルを有していると考えています。詳細は後ほどご覧ください。
・IR事業者/事業実施体制等
IR事業者として、本社を大阪市に置くMGM大阪株式会社が設立されています。構成員は、合同会社日本MGMリゾーツとオリックス株式会社の2社を中核株主として、資料に記載の通り、関西地元企業を中心とした少数株主22社がとなっています。
・収支計画・資金計画/事業工程等
続いて、収支計画および資金計画についてです。初期投資額は約1兆2,700億円、年間売り上げ見込みは約5,200億円です。その内「ノンゲーミング」、つまりカジノ施設以外からの売り上げが約1,000億円、「ゲーミング」、つまりカジノ施設からの売り上げが約4,200億円と試算しております。IRの開業時期は2030年の秋頃をめざしており、既に2025年4月から本体工事に着手しております。
・IR施設の規模
続いてIRの施設でございます。IRはカジノだけではなく、ホテル、MICE施設、エンターテイメント施設など、カジノ収益を活用して、多くの集客施設を民間事業者が一体的に整備・運営する複合型の施設です。IR施設の規模は一番下に記載した通り、総延床面積約77万㎡を計画しています。それぞれの施設概要については、次ページ以降でご説明いたします。
・MICE施設(国際会議場施設/展示等施設)
まず国際会議場施設ですが、6,000人以上を収容できる一番大きな会議室と中小の会議室を配置し、収容人員の合計がおおむね12,000以上となる施設を整備します。また各国との首脳級会合など重要な国際会議にも対応可能な機能を整備いたします。
展示等施設については、約10,000㎡のホールを2部屋、トータル20,000㎡の展示施設を整備することとしており、さまざまなイベントの開催に対応できるものとなっています。
海外での実績を持つMGMのネットワークを生かし、国際的な規模のMICE誘致・開催をめざします。
・魅力増進施設/送客施設
資料の左側は魅力増進施設で、日本の文化や伝統芸能に関する情報発信、食文化の魅力や工芸の制作体験などができる施設を計画しております。資料の右側が送客施設で、日本全国の観光情報を紹介するショーケース機能や、旅行の企画・提案・手配をワンストップで提供するコンシェルジュ機能を持った「関西ツーリズムセンター」のほか、バスターミナルやフェリーターミナルを整備し、夢洲から大阪内外へのアクセスを強化して、日本観光のゲートウェイの形成をめざしていきます。これらの魅力増進施設と送客施設の連携によって、大阪IRから日本各地へ観光客を送り出して、その効果を全国へ波及させることとしております。
・宿泊施設/スマートなまちづくり等
宿泊施設は三つのホテルの設置を予定しており、トータルで約2,500室の客室を整備しまして、そのうち約20%以上をスイートルームとします。利用者需要の多様化や高度化に対応し、コンセプトや仕様に変化を加えたバラエティ豊かな客室を導入するとともに、最高級クラスの客室を整備することとしております。
・来訪及び滞在寄与施設/カジノ施設
続いてエンターテイメント施設についてです。世界的なアーティストによるコンサート、映画の上映、音楽の授賞式などを行う「夢洲シアター」を整備します。またカジノ施設はVIPなどの顧客層に合わせたフロア配置とするほか、カジノ施設を利用しない来訪者への配慮として、外部から目立たない配置デザインを計画しています。

簡単ですが、ここまでが大阪IRの各施設の概要でした。
・地域貢献/附帯事業/カジノ事業収益の活用
続いて地域への貢献に関する資料です。大阪IRは、地域経済、地域社会へさまざまな貢献をしていきます。地元企業からの積極的な調達や地域ブランディングの向上のための取り組み、ビジネスマッチング機会の創出など、中小企業、スタートアップ企業の支援などを行います。
そのほか、府内・関西などへの送客の強化、周遊の促進、地域での消費喚起による地域経済の振興などを計画しています。
・懸念事項対策(ギャンブル等依存症対策)
ここからはIRの立地に伴う懸念事項への対策についてまとめています。
IRの中にカジノができることや、国内外から多くの観光客が来阪することなどから、ギャンブル等依存症の増加や治安の悪化を心配する声があります。大阪府・大阪市およびIR事業者は、こういった懸念事項に対して万全の対策を講じていくこととしております。
まず、ギャンブル等依存症対策についてです。大阪府・大阪市とIR事業者は互いに密接な連携協力を行いながら、依存症の発症・進行・再発の各段階に応じた防止・回復のための対策について、世界の先進事例に加えて、大阪独自の対策をミックスした総合的な取り組みを構築、実施していきます。
具体的な対策として主なものを説明いたします。左側はIR事業者が実施するものです。生体認証など最先端のICT技術を活用して、入場制限や回数制限などの利用制限措置を厳格に実施していきます。この他、24時間・365日利用可能な相談体制の設置など、依存を未然に防止するための対策、取り組みを行います。
右側は大阪府・大阪市が実施するものです。大阪独自の支援体制の構築として、IRの開業までに「(仮称)大阪依存症センター」を設置して、医師、相談員、心理士などによる相談や、自助グループや司法書士などの関係団体による相談をワンストップで提供するなど、同センターを中心として総合的な支援体制の強化、拡充を図っていくこととしています。
・懸念事項対策(治安・地域風俗環境対策/危機管理・防災対策/感染症対策)
続いて治安・地域風俗環境対策です。IR事業者は、24時間・365日体制の総合防災センターを中核として、最新技術を活用したシステムを導入するなど、IR区域内の監視・警備を行っていくことを対策として実施します。
大阪府・大阪市が実施する対策としては、夢洲に警察署などを設置し、IR開業に合わせて段階的に警察職員を増員した上で、夢洲内の警察署などを含む府内の警察施設に適正配置するなど、警察力の強化を図っていくこととしています。
・IR区域整備による経済的社会的効果
続いて、IR整備による経済的社会的効果についてまとめております。
まず、IR区域への来訪者が年間約2,000万人、このうち国内からは年間約1,400万人、海外からは年間約600万人を見込んでいます。
国内では2030年に訪日外国人旅行者数を6,000万人とする目標を掲げており、その1割の600万人を大阪IRで担うというわけです。
初期投資額が約1兆2,700億円で、経済波及効果が、建設時で約1兆9,100億円、運営時で年間約1兆1,400億円、そして雇用創出効果が建設時で約14万人、運営時で年間約9.3万人。さらに地元からの調達額としては、建設時で約1兆700億円、運営時では年間約2,600億円となっています。
・納付金・入場料等の見込み額及び使途
カジノの売り上げの一部を納付金として、また日本人などがカジノ施設に入場する際に課される入場料として、大阪府・大阪市トータルで年間約1,060億円の収入を見込んでいます。
また、この納付金などのほか、大阪府・大阪市合わせて年間約140億円の税収を見込んでいます。この納付金や入場料は、ギャンブル等依存症対策、警察署や消防拠点の設置・運営、夢洲のまちづくりに関連するインフラ整備など、IRの立地に伴って必要となる政策に充当していきます。
その他の一般施策としては、観光の振興や地域経済の振興、住民福祉の増進に関する施策など、府民の暮らしの充実や、あるいは大阪のさらなる成長に向けての投資に活用することなどを想定しています。
・大阪府及び大阪市の施策及び措置
大阪府・大阪市では、国際競争力の高い滞在型観光の実現に向けて、さまざまな取り組みを行っております。
IRを中心に夢洲全体で、スマートリゾートシティをコンセプトに、大阪・関西・日本観光の要となる新たな国際観光拠点の形成をめざしています。そのため大阪市は、夢洲への訪問者増加に対応するため、さまざまなインフラ整備を行っています。
また、大阪全体のMICE誘致戦略の策定や、府内自治体などとの連携による広域観光ルートの開発などを行っていきます。そして大阪IRを含む夢洲の国際観光拠点の価値を高めるとともに、IRの相乗効果を最大限引き出し、大阪・関西のさらなる成長をめざしていくこととしております。
・IR誘致に向けた地域の合意形成/公正・公平な公募手続き
最後に、大阪IR実現に向けた流れをご説明いたします。2021年9月に、MGM・オリックスをIR事業者として選定し、2021年12月にIR事業者と大阪府・大阪市が共同で区域整備計画の案を策定いたしました。
その後、パブリックコメントや公聴会・説明会などで地域との合意形成を進めました。そして大阪府議会、大阪市会での議決を経て、2022年4月に国へ認定申請を行い、2023年4月に国から区域整備計画の認定を受けました。また今年(2025年)4月から本体工事に着手しており、今後は開業をめざして整備を進めていくこととしております。
以上で説明を終わります。
大阪のIR計画は、日本で初めてIRを整備していくエリアとして国に認められました。大阪府と大阪市、またIR事業者が連携しながら、大きな魅力を備えたIRを実現して、大阪・関西の持続的な成長につなげていきたいと考えております。
ご清聴ありがとうございました。