溝畑 宏 氏
公益財団法人大阪観光局 理事長
私もこの4月で大阪に来て10年の節目の年を迎えました。10年前掲げた目標が、2030年に大阪を世界最高水準アジアNo.1の国際観光文化都市にすると言う目標でした。「体験・感動」、「元気・活力」、「夢・希望」、「多様性・共生・平等」、「復活・対応力」、「安心・安全・清潔・防災」、「分散」、「環境・みどり」、これを8つのキーワードとして官民挙げて目標に向かい取り組んで参りました。その結果、大阪へのインバウンドの数は2014年が376万人であったのが、2024年は約 3.9倍の1,464万人、またインバウンドの観光消費も2,661億円から、約5.1倍の1兆 3,690億円と著しく高い伸びを示すことができました。コロナ禍という厳しい状況もありましたが、アジアNo.1に向けて、回復基調に向かっています。
この2025年を迎えるにあたって、昨年はうめきた2期の街開き、中之島の未来医療国際拠点、夢洲新駅開業など、まさに2030年の目標に向かって、ホップ・ステップ・ジャンプのステップを歩んで来ていると思います。今年は大阪・関西万博開催年であります。また、戦後80年、昭和100年、そして市民のシビックプライドが満ち溢れた大大阪時代から100年、まさに激動・節目の年であります。世界が分断・対立・格差拡大が進むなか、改めて万博を開催する都市として、世界平和・世界協調にコミットしながら、SDGsを力強く進めていくという、極めて重要な年になると考えています。2025年の大阪・関西万博は、世界約150カ国の皆様が参加をし、そして「いのち輝く未来社会のデザイン」を共通のテーマに、世界が一体となって、社会課題に取り組むという、非常に重要な場となっています。大阪・関西万博を通して、日本観光のショーケースを形成して行く、大阪の世界的なプランド力を高めていく、そして世界との協調・協和の中で、様々なビジネスチャンスなどを拡大していく、重要なステージであると考えています。
2030年アジアNo.1を目指すにあたって、今年の4月には、2030年の秋頃開業を目途に、日本初の大阪IRが着工しました。また、関西 3空港の機能強化と言うことで、関西国際空港の発着枠数23万回が今後飛行経路の見直しによって30万回に増え、神戸空港も2025年には国際チャーター便の運行開始、そして2030年には定期便、発着枠数も80万回が120万回という形で、関西3空港の機能強化も着実に進んでいくところであります。さらに、大阪ベイエリアのクルーズ船の周航、スーパーヨットの誘致などが進み、夢洲新駅の開業、なにわ筋線の開通に向け鉄道インフラの整備も順調に進んでいます。
特にこれからがアフター万博を見据えて、重要なステージになっています。大阪はアジアNo.1の国際観光文化都市を目指すべく、これからSDGs、日本観光のショーケース、DX推進、オーバーツーリズム・社会問題対策、MICEの推進など、地域住民・観光事業者・観光客すべてが安心・安全・快適に、そして楽しく、元気で明るい街づくりを進めるべく、これからも取り組んで行きたいと考えています。このようなステージを迎えられたのは、大阪府市、経済界、そしてまた関西国際空港はじめ多くの関係者の皆様のご努力あってのものだと思っています。100年後、今の大阪が大大阪時代と言われるように、これから皆様と一体となって取り組んで行きたいと考えています。