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今月のセミナー

-関西空港調査会主催 定例会等における講演抄録-

バーティポート(離着陸場)の動向
-「空飛ぶクルマ」社会の実現に向けて-

楠山 哲弘 氏

国土交通省航空局 航空ネットワーク部 空港計画課長

●と き 2026年5月1日(金)

●ところ 大阪キャッスルホテル 6階 鳳凰・白鳥の間

はじめに/目次

  航空局空港計画課の楠山と申します。本日は、このような場をいただき、誠にありがとうございます。
 テーマは、「空飛ぶクルマ」が離着陸するバーティポートの動向についてですが、その前に、航空輸送の概況と空港整備についてご説明し、最後に、空飛ぶクルマの特徴やバーティポートの動向をご説明いたします。

1. 航空輸送の状況

我が国の国内/国際航空旅客輸送の動向

 まず、国内航空旅客数の状況です。コロナ前の旅客数が約1億人でありましたが、コロナの影響により令和2年度には約3分の1の3,300万人余りまで減少しました。令和6年度においては、過去最高の約1億800万人まで復活している状況です。

 同じく国際航空旅客数についても、平成30年度に1億240万人まで伸びましたが、コロナで190万人、約50分の1まで落ち込んでおります。それでも令和6年度には、過去最高の1億490万人まで復活している状況です。

訪日外国人旅行者数の推移(インバウンドの状況)

 こちらは訪日外国人旅客数、いわゆるインバウンドの推移です。インバウンドもコロナ前は3,188万人でしたが、インバウンドは最も落ち込んだ時期が国内・国際の旅客数より1年遅れ、最低の25万人まで落ち込んだのは2021年(令和3年)でした。

 おかげさまで2025年には過去最高の4,268万人まで伸びております。2026年は、中国の渡航自粛の影響で1月は昨年より減っておりますが、2月、3月と順調に伸びており、3月末の合計では過去最高の水準になっております。

インバウンドとアウトバウンドの変化

 こちらは、インバウンドおよび日本人の出国であるアウトバウンドの推移を示したものです。例えば1995年頃は圧倒的にアウトバウンドが多かったのですが、2015年に逆転しました。

 コロナ前の2019年は、インバウンドが3,188万人、アウトバウンドが2,008万人で、アウトバウンドが約3分の2という状況でした。コロナ後の昨年2025年はインバウンドが4,268万人、アウトバウンドが1,473万人で、アウトバウンドが約3分の1となっており、コロナ前からアウトバウンドの割合がかなり落ち込んでいる状況にございます。

入国外国人数 空港別割合(2025年)

 次の資料は、インバウンドの方々がどの空港を利用して入国しているかというデータです。成田と関空が圧倒的に多く、成田は29%の1,192万人、関空が26%、次に羽田が17%、福岡が9%、新千歳が5%というシェアになっております。

2. 我が国の空港機能強化

羽田空港の概要


  こちらは、羽田Dランの南側からの写真です。平成22年に4本目の滑走路を供用、さらに従来第1・第2ターミナルのみであったものを、第3ターミナル(当時は国際線ターミナル)を整備しました。その後、慣熟を繰り返し、現在の年間の発着回数は約49万回まで向上しています。
 Dランは、多摩川の河口部に位置するため、従来はなかなか建設が難しいと言われていましたが、長さ約1,100mにわたる河口部左側の部分には、多摩川からの水の流れが阻害されないよう、桟橋構造にしました。そして右側の約2,000mの部分は埋め立てを行い、桟橋と埋め立てのハイブリッド構造に工夫を講じることで、このような4本目の滑走路を整備することができました。

空港アクセス鉄道の整備

 JR東日本の新線と京急の引上線、2つの整備を進めております。
 資料左側の図面にオレンジで記しているJR東日本の羽田空港アクセス線(仮称)ですが、東京駅から田町駅付近までの在来線を利用して、田町駅付近から分岐して羽田空港まで直接乗り入れます。宇都宮線、高崎線、常磐線方面から、東京駅を経由して羽田空港まで直接乗り入れを可能にするための整備を進めております。

 右に示したとおり、現在は1回乗り換えがあり、所要時間は30分前後かかっていますが、この新線によって、東京駅から18分乗り換えなしで来られるというアクセスの向上を図るものです。
 次に、水色で示した京急は、現在、品川駅において2面3線だったものを2面4線にする大規模な改良工事を実施しています。品川駅で京急を利用されると分かると思いますが、日々工事が進んでいる状況です。
 それと併せて、羽田空港において現在、行き止まりになっている先に、引上線、つまり電車の入れ換えを可能にする停車場のような場所をつくります。その2つによって、現在6本/時のところを9本/時まで向上させるために事業を進めております。
 JR東日本の新線について詳細をご説明します。
 先ほど申し上げたとおり、田町駅付近から分岐し、貨物線であった大汐線(黄色の点線部分)を活用します。緑の部分からは新線となり、JR東日本が約2.5㎞にわたって施工します。

 赤の部分が空港内であり、私ども航空局、関東地方整備局で整備をしているもので、その詳細がこちらです。駅は右側の点線部分。京急の駅は地下3階ですが、JR東日本の駅は地下1階で、利用者の利便性が向上するような場所に設置することにしています。

 工法についてですが、駅から発進立坑までは開削工事で進めております。開削というのは、地上から掘削してトンネルを整備する工事で、道路を複数回切り回しながら行います。
 発進立坑から北側の部分は、シールドで左側に掘進していき、反対にJR東日本は、先ほど言いました東京貨物ターミナル駅からシールドを掘進させてきて、この境界部分で結合させます。 
 発進立坑からシールドマシンによる掘進開始は、今年の夏頃を予定しております。

第1・第2ターミナル再編

 2つ目として、ターミナルやエプロンの再編・整備についてご説明します。
 第1ターミナル(T1)は、これからビルのリニューアル工事と共に、エプロンの耐震対策を実施していく予定です。

 その工事の際の代替スポットとして、図面左側の黄色の部分の延伸工事をこれまで進めてまいりました。JATCO(日本空港ビルデング株式会社)が木材を使用した特徴的なビルを整備していますが、エプロンは私ども航空局・関東地方整備局で整備を行い、2026年夏頃に供用開始予定です。
 T2においては、本館とサテライトが2025年3月に接続されました。今後はさらに北側、左側黄色の部分を延伸する工事を進めてまいります。
 T2については現状、ANAが国際線の一部をT3からT2にシフトしています。2025年3月までは、内際スイングで使用されていましたが、先ほどの本館とサテライトが接続されたことに合わせて、国際線7スポットをスイングではなく国際専用で使うようになりました。
 これによって、ANAの国際線はT2で約7割程度さばけるようになっておりまして、残りのT3で運航されているANAの国際線をT2に集約すべく、国際線の拡充を進めています。

 これが実現すると、ANAの国際線は全てT2に集約可能になり、T2での内際乗り継ぎ利便性が向上します。そのような目的のために整備を進めております。
 さらに、将来的には、T1、T2の南側の部分に人工地盤を整備し、T1とT2を接続するとともに、エプロンの整備を予定しています。これにより、T1、T2の南側を国際線ターミナルとして運営していく予定です。

GSE車両の自動運転について

 現在、車両地上支援車両(GSE車両)の自動運転を導入しています。トラック運転手と同様、グランドハンドリングの労働環境も非常に厳しいこともあって人員不足が深刻化しており、将来的に航空機の運航に支障をきたすことも懸念されることから、自動運転を順次拡大していく予定です。

成田空港の更なる機能強化

 皆様もご承知の通り、成田空港も大幅な強化を図っています。その一つが、B滑走路の全長を2,500mから3,500mに延ばすとともに、3,500mのC滑走路を新設することです。

 これが実現することによって、成田空港の容量は現状72回/時の時間値が最大98回/時となり、年間発着容量も約50万回になるので、羽田空港とあわせて首都圏空港の年間発着容量が約100万回となり、海外の主要空港と匹敵する規模になります。

関西空域の飛行経路の見直しによる機能強化

  地元経済界を中心として、関西3空港懇談会で長きにわたって議論を行い、年間約50万回を関西3空港で達成するために、関空の飛行経路の見直しをいたしました。

 2025年4月からの大阪・関西万博に間に合わせるべく、地元兵庫県、大阪府をはじめ、地元の皆様のご協力をいただき、達成することができました。
 関空においては、時間値45回だったものを60回、年間の発着容量が約30万回。それに合わせて神戸空港でも、1日の国内線の発着最大便数は80回から120回。そして昨年からは、まずチャーター便を解禁して、2030年度頃には、関空が満杯になるであろうという想定で、そのときには神戸空港において国際線の定期便を1日40回受け入れるというものです。
 左下の図が従来の飛行経路、右下が新しい飛行経路です。違いは大きく2点あります。1点目、離陸する滑走路は、従来A滑走路でしたが、今はB滑走路から離陸して、小回りで大阪上空を回っていくという形態に変わっています。
 2点目の大きな違いは、淡路島上空に新たな飛行経路を設けていることです。特に関空の場合は中国への需要が多く、西側への行き来をスムーズにするため、淡路島上空に新たな飛行経路を設け、それによって時間値60回を達成しました。引き続き、地元の関係者の皆様にはご理解とご協力をどうぞよろしくお願いいたします。

中部国際空港代替滑走路事業の概要

 中部国際空港についても、開港から20年経過して滑走路の老朽化が進展しており、抜本的な改良が必要となったため、代替滑走路の整備を令和6年から9年度までの予定で進めております。

那覇空港国際線ターミナル地域再編事業

 那覇空港も令和2年3月に2本目の滑走路を供用しまして、年間約24万回の滑走路処理容量を確保しております。

 現在進めている事業は、車両の激しい混雑を解消するための駐車場の整備や、ダブルデッキというターミナルビル前の高架式の構内道路を国際線前まで延伸する工事、そして右上の赤色で示したエプロンの拡張工事などです。

福岡空港滑走路増設事業

 福岡空港は、2025年3月に2本目の滑走路が供用を開始しております。
 先ほどご説明した那覇空港では、滑走路間隔が1,310mでオープンパラレルなので、それぞれの滑走路で同時に離着陸できますが、都市型空港である福岡空港の場合、用地が限られているので、滑走路間隔が210mしかなく同時に離着陸はできません。

 例えば着陸機がある場合、逆側の滑走路では、離陸機が滑走路端で待機して、着陸機が安全に着陸したと管制官が判断すると離陸機がすぐ離陸を開始します。その間隔が10秒~20秒縮むので、1時間の発着回数が38回から40回に向上するというものです。
 現状は1時間40回ですが、関空と同様に飛行経路の見直しを行うことによって、45回まで増えます。空港を運営するFIAC(福岡国際空港株式会社)によると、年間で現状の約18.8万回から23~24万回程度まで上がるとのことで、現在飛行経路の見直しの議論を地元・福岡県が中心になって進めているところです。

北九州空港の整備

 次に、同じ福岡県の北九州空港では、航空貨物の輸送効率化のために滑走路の延長事業を進めています。熊本のTSMCなどは、電子製品を輸出する際、現在は福岡、大分から関空、成田まで輸送し、そこから輸出する形態になっています。これを北九州から直接輸出し、北米やヨーロッパとフレーター便を就航させるために、滑走路を3,000mに延ばす事業を実施しています。

 右側の写真は、ヤマトとJALグループが運航している国内貨物便です。現在、那覇、北九州、成田、羽田、新千歳を結ぶ従来のトラックの宅配便の代わりに、国内貨物のフレーター便を運航しています。このヤマト・JALの貨物便と、アメリカのUPS、そして大韓航空の貨物機が3機同時駐機するため貨物エプロンが足りないため、4つ目のエプロン拡張も滑走路延長に併せて整備しています。

屋久島空港滑走路延長事業

 続いて屋久島空港の滑走路延長です。現在1,500mで、主に鹿児島や福岡などと結ばれています。しかし地元・鹿児島県としても、首都圏との直行便の小型ジェットを就航させたいとの考えで、2,000mまで伸ばす事業に令和6年度から着手しています。

 滑走路を整備するのに、山の切り土や盛り土の工事、道路の付け替え、エプロンやターミナルビルの拡張工事を行う必要があるため、10年弱の長い期間要する見込みで、供用は令和15年度が目標です。現在、鹿児島県が整備を進めている状況です。

丘珠空港(札幌飛行場)滑走路延長に向けたPI・環境アセス調査

 滑走路延長の構想として、丘珠空港の事例を紹介します。

 もともと丘珠空港は防衛省陸上自衛隊の駐屯地で、道内や東北を中心に近距離路線が就航しています。FDAが小型ジェット機を飛ばしていますが、1,500mでは冬季期間に離着陸できないことから、それを可能とすべく1,800mに延長するための調査、環境アセスメント、PI(パブリック・インボルブメント)に令和7年度から取り組んでいるという状況です。

令和6年能登半島地震能登空港の状況

 空港整備の最後に、能登空港の地震による被災と、その復旧状況についてご説明します。2年前の令和6年1月1日に能登半島地震が発生し、能登空港をはじめ、甚大な被害が発生しました。

 能登空港でもこのように、着陸帯に1m弱の段差が発生したり、舗装に亀裂が発生したりして、通常の運用は難しい状況になりました。
 地震発生時、私は大阪におりましたが、1月2日から大阪航空局の職員も、本省航空局の職員も応援に駆けつけました。
 周辺の住民約600名の方が能登空港ビルに避難して来られ、石川県の空港事務所のスタッフの方は地域住民の対応で精一杯ということもあって、航空局だけでなく、整備局など国の職員も応援に駆けつけ、実質的な応急復旧対応は石川県に代わって国で行ったという経緯がございます。
 復旧の状況は、資料左側に書いたとおり、1月2日からは自衛隊などの救援ヘリの受け入れを開始し、1月12日からは自衛隊の固定翼機による救援も始まりました。こうして応急復旧を終えまして、1月27日には、右側の写真にあるとおり、羽田の定期便の復便が始まりました。
 能登空港は石川県の管理空港であるため、本来であれば石川県が復旧を担わねばなりませんが、被害があまりにも甚大で、なかなか石川県では人的に難しいということでした。そこで、左下に書きましたとおり、2月1日に大規模災害復興法に基づき、国が権限代行で復旧工事を行なうことになりました。
 道路や港湾の場合、権限代行という制度が道路法、港湾法で規定されておりますが、航空法、空港法ではその規定がありませんでした。よって、この地震を受けて法改正を行い、現状は自治体管理空港等でも、数日あれば国が権限代行で工事を実施できるという制度変更を行いました。

3.バーティポートの動向(空飛ぶクルマの離着陸場)

“空飛ぶクルマ”とは

 ここから本題のバーティポートの動向に入ります。
 「空飛ぶクルマ」の開発を主導しているのは経済産業省ですが、航空局としては、安全部が安全規制を行い、私ども空港計画課は、バーティポート(離着陸場)の指針を整備したり、これから空飛ぶクルマが普及した際に、バーティポートの整備をどうやって進めていくのか、といった準備を現在進めている状況です。

 資料上段の囲みに書きましたとおり、日本のメーカーであるSkyDrive社、アメリカのJoby Aviation社等が、型式証明取得に向けた動きを加速化されています。

ヘリコプターと空飛ぶクルマの比較

 ヘリコプターと比較して、電動でエンジンを持たないため騒音が小さい、これが空飛ぶクルマの一番大きなメリットです。また、部品点数が少ないため、将来的には整備費用が安くなるのではないかと期待されています。

 表ではヘリコプター(左)、空飛ぶクルマ(右)を比較しております。上から3つ目の巡航性能に記された速度はさほど変わりませんが、飛行距離に関しては、ヘリは400~500kmまで飛びますが、空飛ぶクルマは現状、200km弱で開発されているものが多いです。座席数はどちらも1~5、6席で、同等です。
 ヘリコプターの利用例は、遊覧、エアタクシー、消防・防災、警察ヘリなどの公的サービスです。ドクターヘリも救急救命医療などの公的サービスに当たります。他には、荷物・人員の輸送サービスなども挙げられます。
 空飛ぶクルマの場合、当初はヘリと同じような役割を担うのではないかと考えているところです。

“空飛ぶクルマ”の国内外の機体開発について

 こちらは、世界で開発が進んでいる空飛ぶクルマの事例です。左上が日本の「SkyDrive」、こちらは操縦士を含めて3名搭乗なので、お客様は2名ということになります。巡航速度は100㎞/hですが、航続距離が約15㎞なので市内の移動が想定されています。

 その隣が「Joby S4」です。大阪・関西万博でのデモフライトの動画がありますので後ほどご覧ください。同機は、大阪・関西万博でもパイロットが実際に乗り込んで、安定的に運航したのを私も目の前で見て、空飛ぶクルマの世界が、もしかしたら数年後に始まるのか? という感動を覚えた次第でございます。

バーティポートのサイズ感(ヘリポートとの比較)

 空飛ぶクルマのバーティポートと、国内にあるヘリポートとの比較を示したものです。右上が夢洲にあった大阪・関西万博のバーティポートで、オーダー的に言うと100m×100mぐらいの規模です。

 同じ縮尺で、東京ヘリポートや大阪ヘリポートなどと比較しました。一番左の高崎ヘリポートも100 m×100 mオーダーなので、基本的にはヘリポートとバーティポートは同じような規模であると理解していただければと思います。大きな違いは、空飛ぶクルマが電気で飛ぶため充電施設が必要であることと、消火剤が異なっているという点です。

空飛ぶクルマ・バーティポートの普及に向けて

 「空の移動革命に向けた官民協議会」で経産省と航空局が進めている、政府全体のロードマップでは、2020年代後半から普及が始まり、2030年代には多くの方々が利用することを想定して、政府全体として取り組みを進めているものです。

①バーティポート整備指針(空飛ぶクルマの制度整備)

 ICAOやIATAで技術的な基準が固まるのに合わせて、日本国内でも技術基準を定めたいのですが、まずはバーティポート整備の暫定ガイダンスとして基本的な考え方を指針として令和5年12月にとりまとめました。

 ヘリポートとさほど変わらないのですが、例えば、離着陸する場所をFATOと呼んだり、通常のヘリポートでいうエプロンという駐機場の部分をスタンドと呼んだりなど、呼び方が多少違います。また、先述のように消火設備が異なり、充電設備が必要であるなど、そのような部分が大きく違うところです。

②VP計画ガイドライン策定に向けた実証事業費補助

 大阪・関西万博での空飛ぶクルマの運航、バーティポートの普及を目指して、令和6年度にバーティポート整備の補助事業を行いました。1案件当たり上限額5,000万円で公募を行い、5件交付決定を行いました。そのうち4件が万博内会場を含む大阪・関西万博関連で、1件が静岡県の御殿場アウトレットで駐車場を活用したバーティポート整備です。御殿場では、富士山の遊覧飛行が想定されています。

③バーティポート施設のあり方検討委員会について

 3つ目として、「バーティポート施設のあり方検討委員会」の概要についてご説明します。ユースケースとして念頭に置いていたのは2つのタームです。まず、2020年代後半を「初期」として、御殿場の事例でもあったように、観光地の遊覧飛行あるいは、空港から東京駅のビルの屋上や観光地に行くといった、ヘリの代替としてのユースケース。

 「中期」的には、2030年代後半を念頭に置き、空飛ぶクルマがどのように使われるのかというユースケースを想定してバーティポートのあり方について議論いただいて、2025年7月に中間取りまとめを行いました。
 バーティポートの分類として、国際的には大きく3分類ありますが、私どもは「ベース」「ハブ」「充電ストップ」「ストップ」という4分類を定義づけしました。

 国際的な考え方と大きく違うのは、一番上の「ベース」です。例えば伊丹空港や福岡空港、羽田空港などは、空港自体が非常に混雑しており、将来的には、空港で離着陸できたとしても、機体整備を行う格納庫や、夜間に空飛ぶクルマを駐機させるような場所などを空港内に設置できないと思われます。
 近傍の空き地に、ベースとなるバーティポートを整備することを念頭に置いて、「ベース」という新たな概念を設けたのは、国際的な考え方と異なる特徴的なところです。

 大都市をイメージして、バーティポートの配置イメージを考えてみました。

 需要の多い都市中心部にはバーティポートが多く必要になりますが、用地が限られているためこのように「ストップ」という分類のものが中心部に多々配置され、その外縁部に「ベース」や「ハブ」が配置されるというイメージで考えております。
 こちらが地方都市のイメージです。

 左側が観光地のある山間部分で、主要ターミナル駅等の地方都市の中心部から山間部で、あるいは空港に行き来できる、そういう使われ方をするのに、バーティポートが必要ではないか、といったイメージを置いております。
 普及にあたっての課題をまとめました。まずコストの課題。普及をいかに促して1機当たりのコストを低減するかが課題です。

 次に就航率の向上。風速10m/sではなかなか空飛ぶクルマは飛べないという話もあるので、どうやって就航率を上げるのかが課題です。事例を挙げていますが、過去に飛んでいた都心と成田空港のヘリのアクセスについては、風だけではなく濃霧で飛べないことが多々あって、就航率が85%だったそうです。風だけではなく、霧・濃霧に対してもいかに就航率を上げていくのかという課題もあります。
 積載量の向上。荷物を載せる場合だけではなく、旅客の方々に乗っていただく場合にも、特にインバウンドのお客様は、多くの荷物をお持ちです。そのような大きな荷物をどのようにしていくのかといった課題もあります。
 そしてアクセス・イグレスの必要性。家の前から空飛ぶクルマが飛んでいれば問題はないものの、現状は拠点駅やターミナル駅などへ行ってから乗っていただくことを想定しているため、アクセス・イグレスをいかに短くしていくのかという問題もあります。
 他には制度的な問題があります。バーティポート自体の技術基準や事業制度もまだ定まっておりませんし、管制もまだしっかりと固まったものではないため、実際の普及に向けては、私どもで制度・整備もしっかり利用者ニーズを聞きながら定めていかなければなりません。
 一番大事なのは、地域住民を中心とした社会受容性の向上です。部品が落ちてくるのではないのか、静かだといってもやはりうるさい、そもそも機体自体が落ちてきたらどうするのか、といった懸念に対して、それらをどう受け入れていってもらうかという理解醸成も、自治体と協力して考えていかなければならないと思っております。

④大阪・関西万博で披露された空飛ぶクルマ・会場内ポート「EXPO Vertiport」

 次に大阪・関西万博の状況をご説明します。一番左は丸紅が飛ばされた「HEXA」です。2つ目がSkyDrive「SD-05」、日本のメーカーです。次にANAが運航されている「Joby S4」。JALグループのSoracleの機体は、機体展示のみでした。

 夢洲に整備されたバーティポートの詳細です。格納庫も大変立派なもので、こちらにSkyDriveやJobyの機体が格納され、整備などが行われていました。

 ANAが運航されているJobyのデモフライト(2025年10月2日)の動画をご覧ください(動画の再生)。夢洲のバーティポートを北側の尼崎方面に向けて会場を飛行しているところで、時速は150㎞/hぐらい出ています。14分程度飛行して、着陸をしています。

⑤ドバイ(UAE) 空港アクセス

 何例か、国際・国内の今後の事例を簡単にご紹介します。まずこちらは、今年度(2026年度)予定されているドバイの事例です。

 地図で示したとおり、ドバイ国際空港からパームジュメイラまで非常に混雑しており、車で45分かかるところを空飛ぶクルマなら12分で移動できるため、プロジェクトが進んでおります。

⑥ロサンゼルス 空港アクセス

 次のロス五輪に合わせて、Archer社がロス市内で空飛ぶクルマを運航する予定です。

 こちらは60㎞前後の距離を飛ばすということです。2年後になるため、このときにはかなり商業ベースに近い形で空飛ぶクルマが運航されるのではないかと期待しております。

⑦森ノ宮新駅交通結節機能

 また国内では、大阪の森ノ宮新駅でも、Osaka Metroが再開発に合わせて空飛ぶクルマの拠点を設ける予定だとお聞きしています。

⑧築地跡地交通結節機能

 東京では、築地市場跡地にいろいろな施設が整備されるのに合わせて、空飛ぶクルマのバーティポートも整備される予定だとうかがっています。

大阪・関西地域における検討状況(Soracle社)

 大阪地域におけるSoracle社の取り組みです。左側の初期フェーズでは、関空、淡路島および湾岸エリアで運航される予定ですが、将来的には兵庫、大阪、京都、奈良、三重と広域的にネットワーク化される予定です。

 関空を核として空飛ぶクルマの普及が進むよう、航空局としても頑張っていますので、地元でもご協力いただければと思っております。

東京都空飛ぶクルマ実装プロジェクト

 東京都でも、都による実装プロジェクトが進んでおり、JALと野村不動産が中心のコンソーシアムが選ばれています。湾岸エリアや多摩川を上空のルートで、2026~27年にかけて実証プロジェクトが進む予定です。

 以上、駆け足でございましたが、発表を終わります。ご清聴ありがとうございました。

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